金継ぎのはなし その②

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うつわをなおす

前回の記事では、金継ぎを始めたお話しなどを書きました。(金継ぎのはなし その①)

今日は、つづきです。
実際に金継ぎをしているときのお話し。
(今日は頭痛がひどくてなんだかいい感じに書ける気はしませんが、まあこんな日もあると言うことで…。御手柔らかに。(~_~;)

金継ぎ作業は、ちょっと特別な空気感が流れます。
作業場も変えます。いつもの洋裁のお仕事部屋から、2階のテーブルスペースへ移動し作業をします。
できるだけ静か、ほこりも少ない、移動せずに安全に乾かせる、いつもと違った集中できる空気感…
そんな2階の部屋でスタンバイ。

ズラ〜っと今回直したいうつわたちを並べて、順番や段取り別に分け、作業を始める。


工程を簡単に…
①素地調整→接着面の面取り
②割れている部分をくっつける。
③くっつけた部分を綺麗に削り、ヤスリがけ。
④細かい欠けや、ガタガタ、隙間を埋める。
⑤埋めた箇所を綺麗に削り、ヤスリがけ。
⑥漆に赤ベンガラを混ぜ、補修部分を筆で塗る。
⑦状態を見て、必要に応じて、⑤,⑥を繰り返す。
⑧蒔絵(金粉を蒔く)
⑨数日ムロにいれて乾かして完成。

この作業を、だいたい2〜3日に分けて行う。

急がずとにかく丁寧にするのが綺麗に仕上げるコツ。
疲れたら、気分転換しないと急いじゃうし、
特に最後の漆を塗る工程は、集中力MAX で、ただただ美しく仕上げる…ことだけを考えて。

集中前、気分転換に欠かせないのが
大好きな珈琲。
作業前には珈琲を淹れて、心を落ち着かせ、合間合間に一息をつきながら、
ゆっくり進める。
音楽も重要で、無音または落ち着く系の音楽がいい。お笑い系のYouTubeなんか流してようものなら、笑いで手が震えて話にならない。(←実はやったことがあり、あかん!とひとしきり笑ってからやめた(⌒-⌒; ))

お直ししている左奥の器と私の珈琲カップは同じ作家(綾部の鈴木隆さん)の作品。そんな出来事も嬉しい。

さてうつわの修復の様子を。

このうつわは気持ちよく真っ二つ。こういう割れ方は、ぴったり気持ち良いほどに綺麗に直る。

ほら、くっつくとこんな感じ↓

あ〜うつくし〜、まだ途中だけれど、この時点で美し〜
芸術的な緩やかなアールを描きながら、絶妙なバランスで繋がる美しい線。
美しい器には美しい線が似合う。
(まだまだ途中にも関わらず…うっとり…。)

しかしながら、この器をつくる綾部の鈴木隆さんの絶妙にかっこよくて、かわいすぎる土の表情づかい…
たまりません。
私がいま現在、自分で陶器を買ってしまう唯一の陶芸作家さん。(器は余るほどあるのに、どうしても迎え入れて使いたいと思ってしまうほど素敵)
器は、フォルムの美しさが重要で、見たり触ったりですぐわかるのですが、良いろくろがひけているか、土が伸びていないぼってりしたろくろか…?。
鈴木さんの器は、まずその具合が素晴らしくて、ゆえに使い心地も最高なのです。その証拠と言ってはなんですが、上の真っ二つに割れた断面を見ると、底から口の部分まで、均一な厚みでしょ。(ぼってりした器は、底の方が分厚くて、口だけ薄い。)
そして美しく優しい丸みと、この絶妙に素朴で魅力的な色。
あ〜すてきだ。いつか私が老後の趣味として陶芸を再開するときは、こんな器を作りたいと夢を膨らませています。

器の話になると、少々感情的になり調子に乗ってしまい、余談を挟んでしまいました。

さあ話を戻します。

上の写真の時点で、⑦(⑤と⑥の工程を繰り返す)作業中。
漆を使う辺りから、写真など撮っている余裕はありません。
集中に加え、漆を使ったときは、あれこれしていると失敗の元に。塗った漆に触れてしまえば、やり直し。その上、恐怖のうるし被れを引き起こす要因になりかねない。(うるし被れの話は前回の記事で
全ての取り扱いを慎重に。

そして、無事、蒔絵終了。

すてきな器を直すことができる嬉しさ
順調な進み具合に大満足。

ムロに入れ(湿度を保つ箱)4〜5日乾かして、まわりについた金粉を綺麗に洗い、出来上がり。

よくできました💮


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